サーマルスロットリング
ベルトコンベヤを流れてくるビンを箱に詰めるアルバイトがあります。
次々流れてくるビンを、一日中、左から右にひたすら移動し続けるので、
何日か働くと夢に出てくるといいます。
こういうアルバイトをしていると、もう汗だくになります。
もう、早く休み時間にしてくれ~!暑ぢぃ~!と叫びたくなります。
休みにならないまでも、もうちょっとゆっくり流してくれ~
といいたくなります。
ベルトコンベアの速度を3分の1くらいにしてくれると、
それはもう楽になって、汗も引いていきます。
◇ ◇ ◇
くるまでアクセルべた踏み(フルスロットル)で走り続けると
エンジンがどんどん熱くなって、そのうち壊れてしまいます。
オーバーヒートといいます。
バイクの鈴鹿8耐、ルマン24のような耐久レースがあります。
極限状態で走り続ければ高価なレーシングカーでも丸一日
走り続けることすら難しいのです。
適当にアクセルを緩めてスピードを落とすことで、
エンジンが徐々に冷やされて、壊れず長く走り続けられます。
◇ ◇ ◇
サーマルスロットリングというのはパソコンの機能の一つです。
「サーマル(温度の)スロットリング(調節弁を絞る)」
という名前のとおり、パソコンの温度を調節する仕組みのひとつです。
パソコンの中で一番熱くなるのは心臓部のCPUという部品です。
くるまでいうとエンジンにあたります。
しかも、CPUはふつう、最高速度で動き続けています。
くるまのエンジンにラジエータ(放熱器)がついているように、
パソコンのCPUにも冷却装置が付いています。
ふつうはファンが付いているので動き出すとフォーンと音がします。
でもCPUにあまりキツイ仕事をさせたり、ファンに埃が詰まって
しまったり、布団の上で使って十分な空気を吸い込めなくなったり、
暑い部屋で使ったり、コタツの上で使ったり、お日様のあたる窓際
で使ったりすると、CPUがオーバーヒートして壊れてしまうこと
があります。
そうならないように、壊れそうなほど熱くなるとパソコンは仕事の
スピードを落としてあまりCPUが発熱しないように努力します。
この仕組みをサーマルスロットリングといいます。
CPUの仕事のスピードは「クロックスピード」で計ります。
このスピードを遅くすれば、CPUの発熱は少なくなります。
くるまにはタコメータ(回転計)がついています。
6000rpmと表示されていたら、
一分間に6千回エンジンが回転していることを示しています。
CPUのクロックスピードは、Hzという単位で表します。
1.0GHzと表示されていたら、
一秒間に10億回の作業ができることを示しています。
アルバイトの例でたとえると、
1秒間に10億本のビンを箱詰めできるような
猛烈な速さでベルトコンベアが動いていることになります。
サーマルスロットリングが作動すると、
このスピードが3分の1くらいになります。
なんだか、パソコンが遅くなった!
ゲームしていると画像がカクカクする、なんてときは、
もしかしたらサーマルスロットリングが働いて、
パソコンが悲鳴をあげているのかもしれません。
こまめにお掃除して、エアコンをつけてあげるようにしましょうね。
◇ ◇ ◇
おまけ。
それでももっと熱くなったらどうなるのか。
やってみたら、電源が切れました。
くるまのエンジンにもリミッターがついていて、
あまり飛ばすと燃料がカットされちゃいますが、
パソコンも燃料カット(電源オフ)しちゃうんですね。
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